実録🎥香水トレーニング
ある日の会議室。入室と同時にずらりと並ぶ真っ新なテスターが迎えてくれます。
時間になり、各店舗のセールスやコンペティター情報などのデータが共有され、進行していきます。
束の間のブレイクの後、アジェンダは『製品トレーニング』へ。
香りがついたムエットが配布され、手元の資料を読み上げるトレーナー。
トレーナー:○○さん、この香りどうですか?
○○さん(スタッフ):良い香りですね。好きです、これ。
トレーナー:ありがとうございます。では、ローンチは○○日です。各店舗のバジェットは・・・で、一週間以内にテスターが到着しますので、到着とともに予約開始となります。———————
この内容をトレーニングと呼べるでしょうか・・・トレーニング改め説明会では?と思ってしまいます😞
📝置きざりにされている現状
実はこのような一堂に会して日本語訳した本国の資料を読み上げるだけの“フレグランストレーニング”(実態は説明会)が行われている会社・ブランドは珍しいことではありません💦
まだ、一堂に会しフレグランス製品に向き合う時間が設けられているだけマシかも知れません。
“トレーニング”の機会すら無く、ある日突然テスターと資料だけが送られて何事もなくローンチを迎えるハイブランドやハイジュエラー、香水代理店も存在する始末🌀
「香水の接客に自信が持てない」「何をお客様と話せば良いか分からない」「香水の問い合わせがあっても在庫の有無しか答えられない」
このような現場の声に「仕事なら個人でスキルを磨く努力するべき」「勉強しようという姿勢や気概が足りないだけ」という言葉を内外いずれからも見聞きしますが、現場スタッフ一個人のモチベーションに起因する問題に留まることでしょうか?🤔💭
少なくとも、私のトレーニングを受ける前は香水接客に強い苦手意識・拒否反応を持っていたスタッフが『香水の接客って楽しいですね!こういう事だったんですね!』と見事にマインドチェンジし目に輝きが宿った結果、『香水接客が楽しい→紹介したくて仕方がない→お客様にも感動が伝わりセールスが伸び、全国上位に✨』と素晴らしい成功例も。それも一人二人だけではありません🪄
ここで目を向けていただきたいのは私のトレーニング内容以前に、企業やブランドにとって本質的な問題は無いか?メスを入れなければいけいないのは?👀その点はいつも度外視され続けている現状で、いつまでも個人に責任転嫁していて良いものなのでしょうか🤔💭
- 香水の基礎知識を教えられる人材がいない
- 店頭で実務をしながら覚えてと現場に丸投げ、十分な研修がない(研修を行える人が居ない)
- 香水接客に要する知識や所作があることを知らない
本来、香水を取り扱う企業でありながらその基盤が無い・必要だと捉えていないことを問題視せず、個人の努力やモチベーション頼りにしている現状にまずはフォーカスすべきです。
基盤がなければ上辺だけの接客になる→お客様の購買意欲に繋がらない→接客回数をこなしてもセールスが上がらない、モチベーションが下がる→紹介しなくなる→店舗やブランドのセールスに影響が出る・・・至極当然です。
接客力を持たず製品力だけで生き残るには限界があります。
前回の記事でも詳しく触れています▶︎「これからの香水接客のあり方🩰✨〜心の声に寄り添う〜」
本国から送られてくる香水の資料が日本語訳されていても、非日常的で抽象的な言葉だけが並べられているだけのもの。それを読んだだけで接客に活かせるものではありません。
それをどのように接客で紹介したり提案できるのか💭
それを学んだり、自ら考え、さらに自分の言葉でアウトプットできるようになり、スキルとして身に着け自信を持って紹介・提案ができるスタッフへとエレベーティングさせる一端がトレーニングの存在意義ではないでしょうか💭💭💭
◆
ラグジュアリーメゾン、フレグランス専門、ハイジュエラー—————
そのイメージに洗練された所作・上品な身のこなし・言葉遣い・ホスピタリティがあります。
そしてお客様はそのイメージの中に安心して相談できる・的確な提案やアドバイスが受けられると信頼を寄せてお越しくださいます。
そんなお客様の信頼に「いらっしゃいませ、ようこそ。香りの事は何なりとお申し付けくださいませ😊」と自信を持って応対できるスタッフはどれほどいるでしょうか💭
「香水を試してみても良いですか?」の声に「ありがとうございます😊ぜひ✨ご案内させていただきます✨」と、サッと美しい所作でムエットとテスターを手に取り紹介ができるスタッフはどれほどいるでしょうか💭
年々、さまざまなブランドで高級志向の香水の展開や、専属調香師を迎える・百貨店の平場で取り扱われていたブランドの香水が専門カウンターが設置され世界観と共に接客できる環境を整えたり・・・と、長年「日本は香水文化が遅れている」と言われ続けていましたが、本格化が目に見えて進んでおります✨
しかし、その一方で国内の代理店や企業・ブランドが適正な人材配置やトレーニング環境の整備が十分にされているとは考えにくい現状です🌀
トレーニングはとても重要な機会🌹
何度でも説きます。
フレグランスカテゴリーにおいてトレーニングとは非常に貴重な機会です🌹
しかし、その時間をただ設ける事だけでは意味がありません。
一方的に製品の説明を受ける=情報を得る=インプット
これはトレーニングではありません。
受けている時間だけが学びの時間ではなく、「香りをどのように紹介できるか💭」にじっくり向き合える時間なのです⌛️答え合わせの時間でもあり、マインドセットでき、自分の接客の見直しができる場でもあります。
トレーニングとは字の如く、受ける回数を重ねるほど知識だけでなくスキルが研鑽できること。
特にローンチ前のプロダクトにおいては事前に情報開示された中で予習し、当日は答え合わせをしながらさらに理解を深め、翌日以降すぐアウトプットできるよう自分の言葉として吸収できることがトレーニングの意義だと考えます💡→→→新作フレグランスとのファーストコンタクト📝〜社内トレーニング前の準備〜
原石から唯一無二の輝きへ💎✨
香水トレーナーとしてトレーニングを行う前に必ずこれを掲げているのが「参加者の目を輝かせ、覚醒させること🪄」
つまり、香水トレーニングを通して“発見”があったり、「香りで」ではなくまずトレーナー自身が自分の言葉でそこに参加している方々の目に煌めきを与えられるような心が動く体験をしてもらうことが一つのミッションであり、そうできるスキルを持つべきだと考えます🦋✨
その上で独自の接客スクリプト設計Parfum Essential Lesson『Attitude』の中から一部を紹介します📝
💡新作ローンチ前トレーニング例💡
Step①【インプット期】:情報開示〜トレーニング当日・・・[予習・準備]
お客様が香りと出会う瞬間と同じ体験ができる貴重な時間=トレーニングです🕐
限りあるトレーニング時間で会得を最大化をはかるため、事前準備※を行いましょう🗝
開示されている情報の中でイメージを書き出す・膨らませ、トレーニング日に向け準備します💡
※準備ポイント:ボトルの色・形、キービジュアルから受ける“印象”を書き出すことで解像度を上げる。この段階ではイメージを膨らませ言葉を炙り出すことが目的のため、主観や単語の羅列でもOK🙆♀️
トレーニングでは事前に準備していたものと照合・答え合わせし、さらに解像度を上げます🔍
Step②【Preアウトプット期】:トレーニング後〜ローンチ・・・能動的紹介フェーズ[復習・反復]
多くの売り場で設けられる予約期間=【Preアウトプット期】
ローンチ以降に本格的なアウトプットができるための“練習期間”です。
Step①で会得した“製品知識”と“香り”を繋げて自分の言葉で紹介するアウトプット練習を何度も行いましょう💡
この期間に来店されるお客様は新作情報をお持ちではない方が多いため、こちらのタイミングで能動的に紹介できるフェーズ🪄
意外な反応(ネガティブワード等)にも困ることが無いよう、切り返し方法や対策を思案しながら、さらなる知識や理解を深めローンチを迎えます。
推奨する練習法:後輩・同僚など“誰かに教える機会”を積極的に作ってみましょう💡より理解を深め言葉の表現を広げられる最適なアウトプット練習方法です📝
Step③【アウトプット期】:ローンチ〜2週間・・・受動的紹介フェーズ
「新作の香りです」の汎用ワードは上手く活用します👍
ただし、早くて一週間〜長くて一ヶ月で鮮度が落ちるワードであることに留意しましょう⚠️
媒体・SNS等のPRで製品情報を見て「新作の香りはどれですか?」と一つの製品にフォーカスして紹介する機会が増える受動的な紹介フェーズ🪄
Step②で反復練習した「製品知識+香りの魅力」に「お客様」を加える。パーソナルな提案・紹介とともに、多種多様にいらっしゃるお客様へ一つの香りを多角的にアプローチができるスキルを磨いていきます💡
Step④【ブラッシュアップ期】:ローンチ2週目以降〜・・・[比較・研鑽]
Step②に無く③以降に出た問題点・課題の見直し、改善策を行いましょう📝
新製品としての注目度・話題性は減少傾向に⤵︎既存ラインナップへの仲間入りと考えます💡
停滞することが無いよう、製品アプローチ改善をはかるため、さらに深堀り・研鑽します。
研鑽ポイント:「Step②製品知識+香り」+「Step③パーソナルな紹介」に、「既存ラインナップへの仲間入りと比較」を加えます。
既存フレグランスの仲間入りした時にどのポジションにある香りなのか💭
単に香りの分類だけでなく、香りの持つ印象やイメージでどのように比較できるのか💭
その“比較”を言語化し、表現の幅を広げていきましょう📝
新作フレグランスのローンチ前後のフローを可視化すると、大きく4つにフェーズを分け、段階的に何が必要で準備すべきものが見えてくると思います👀🌱
新作の発表→何となくトレーニング参加→準備無しのままローンチ
その先に待っているのはその後もただテスターが並べられオブジェと化すです。
「売れ行きが悪いと本社からプレッシャーが・・・」と嘆く前に、準備しなければいけないこと💡整えておくべき環境💡スタッフに何が必要かを教授する事💡
原石はカットや研磨することで輝きを帯びるように、同じスケジュールでも製品の魅力を最大限に引き出し、伝えることができるようになるには、取り組み方一つ一つが大きく左右します🍀
ぜひ、原石から幾度もの研磨を経て光を宿すように、表現に研鑽を重ね、あなたやあなたの部下・後輩たちの接客を唯一無二に輝きを放つ宝石にしていきましょう💎✨
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